「教習所の指導員って、実際どんなことを考えながら働いているの?」
「やりがいがあるって聞くけど、どんなときに感じるんだろう。逆に大変なことは?」
求人サイトやパンフレットにはなかなか書かれない、現場のリアル。本当に知りたいのは、そんな“本音”ではないでしょうか。
この記事では、現役指導員たちが感じる喜びや苦労、そして思わず笑ってしまう“教習所あるある”まで、ざっくばらんにご紹介します。
指導員という仕事の人間らしさや魅力を、きっと身近に感じてもらえるはずです。
INDEX
指導員が語る「この仕事のやりがい」
自動車学校の指導員は、ただ運転に関する技術や知識を教えるだけの仕事ではありません。教習生の成長を間近で支え、人生の新たな一歩を後押しする、感動にあふれた仕事です。ここでは、現役指導員が実感している“仕事の面白さ”をご紹介します。
教習生の「できた!」が自分の喜びに変わる
最もやりがいを感じるのは、教習生の成長を実感できた瞬間です。
昨日までガチガチに緊張していた人が、今日はリラックスして運転できた、何度も失敗したクランクが初めてスムーズに通過できた、その一つひとつが、指導員にとっても大きな喜びになります。
特に印象的なのは、運転に苦手意識を持っていた教習生が、卒業する頃には「運転って、楽しいんですね!」と笑顔で話してくれること。自分の指導を通じて、誰かの苦手が「好き」や「得意」に変わる、その変化を側で支えられるのは、何物にも代えがたい醍醐味です。
「ありがとう」という言葉が、すべての努力が報われる瞬間を教えてくれる。
卒業の日、「先生のおかげで合格できました!」という言葉をもらうと、それまでの苦労が一瞬で吹き飛びます。
数ヶ月にわたり、ただ技術を教えるだけでなく、不安を聞き、励ましながら共に過ごす時間は、人と人との深い関わりそのものです。その中で生まれる信頼関係が、指導員の原動力になります。だからこそ、卒業生が手にする免許証は、指導員にとっても、共に頑張った証であり、誇りなのです。
実はここが大変!〜現場での苦労と乗り越え方〜
どんな仕事にも、大変な面はあります。指導員の仕事も例外ではありません。ここでは、現場で実際に感じる苦労やプレッシャー、そしてそれをどう乗り越えているかをお伝えします。この仕事のリアルな魅力が見えてきます。
人に「教える」ことの奥深さと難しさ
「自分が運転できること」と「人に運転を教えること」は、全く別のスキルが求められます。100人の教習生がいれば、100通りの個性、性格、そして運転のクセがあります。
ある人には伝わる説明が、別の人には全く響かない、そんな場面は日常茶飯事です。「どうすればこの人に伝わるだろう?」と、毎日が試行錯誤の連続です。自分の伝え方の限界を感じ、悔しい思いをすることもあるかもしれません。
この壁を乗り越える鍵は、「一人で抱え込まないこと」です。指導員室には、何十年も教習生と向き合ってきたベテランの先輩たちがいます。どう教えたらいいか悩んだときには、惜しみなく知恵を貸してくれます。同僚と情報交換をしながら、チーム全体で教習生の成長をサポートしていく。この文化が、指導員一人ひとりの成長を支えています。
常に隣り合わせの「緊張感」と「責任感」
教習中、指導員たちは教習生の命と周囲の安全を預かっています。一瞬たりとも気を抜けません。特に、路上教習で交通量の多い場所を走る時や、教習生がパニックになりかけた時などは、ひときわ神経を使います。このプレッシャーや緊張により、精神的な疲労が積み重なるのも事実です。
これらを乗り越えポジティブな力に変えるのが、「プロ意識」です。常に危険を予測し、補助ブレーキに足を添えながら、万が一の事態に備えたり、路上で教習生がパニックになる前に早めに助言をしたりします。この緊張感こそが、プロとしての誇りと責任を生み出しているのです。
また、オンとオフの切り替えも非常に大切です。休憩中は同僚と笑い合ったり、休日は趣味に没頭したりして、意識的にリラックスする時間を作ることが、高いパフォーマンスを維持する秘訣です。
思わず笑っちゃう!?教習所あるあるエピソード
厳しい話が続きましたが、自動車学校・教習所の毎日は、真剣さの中にも笑いや発見がたくさんあります。ここでは、指導員なら「わかるわかる!」と頷いてしまうような、「教習所あるある」を少しだけご紹介します。
・プライベートでも指導員モード
友人や家族の車に乗ると、無意識にサイドミラーやルームミラーをチェックしてしまいます。曲がる時に「もっと左に寄せて!」など、つい口出ししてしまい、ちょっと煙たがられることも。
他にも、助手席に乗っている時に危険な場面に遭遇しそうになると、ついつい右足が反応してしまい、そこにあるはずのない補助ブレーキを踏みそうになることがあります。
・街中が教習コースに見える
休日、自分の車で街を走っていても、「あ、ここは路上教習のコースだ」「この交差点は、見通しが悪いから要注意ポイントだな」と、頭の中でシミュレーションが始まってしまいます。
・「交代」が「後退」に!?
複数人で乗り合いで行う高速教習でのこと。指導員が「そこに止めて交代」と言った途端、教習生がバックで“後退”開始。まさかの指示ミスかと思いきや、ただの聞き間違いでした。日本語、深いです。
・脳内ナビがフル稼働
「この先の交差点、右折レーンが短いから早めに寄らないと」「この道は夕方混むから、あっちの裏道を使おう」など、常に最短・最適ルートを考えてしまい、プライベートのドライブでも全くリラックスできないことがあります。
こうした「あるある」は、指導員同士の格好の話題です。大変なことも、笑い話に変えて共有できます。そんな和やかな雰囲気が、私たちの職場の自慢です。
インタビュー形式:現役指導員の本音トーク

ここからは、実際に現場で活躍する2人の指導員に、さらに踏み込んだ本音を聞いてみました。
――よろしくお願いします!早速ですが、この仕事をしていて「一番嬉しかったこと」って何ですか?
Aさん:担当の子が卒業後に免許が取れたご報告と合わせて感謝の手紙までいただいたこと。
Bさん:当初は運転の習得に時間がかかってしまった子が最終的には人並みにスムーズに運転できるようになったこと。当校では担当制なので成長する姿がとても嬉しいです。
――逆に、「続けられないかも…」って思うくらい大変だったことはありますか?
Bさん:資格を取得後、先輩指導員の教習を拝見したりし、たくさんの事を学ぶが、いざ自分が教習を始めると、自身の知識不足・観察力の低さ・緊張などもあり、思い描いた通りに教習を進めることができなかったこと。
Aさん:自分の説明が伝わらないことがあること。
教習生は十人十色のため、説明が伝わる方もいれば、伝わらない方もいる中で、この子にはどのように説明したらいいのか試行錯誤していくのが難しいです。
――自動車学校で働くことで得られた“人とのつながり”や“気づき”はありますか?
Aさん:教習生一人ひとり学び方が違うため、言葉で理解する方・自身で経験して覚える方・見本を見せて覚える方など、相手に合わせて教習方法を変えていく必要があることに気づきます。
Bさん:教習方法で悩んでいる時に先輩指導員に相談やアドバイスをいただくため、自然と交流が深まり気軽に話せるようになっていきます。
――最後に、未来の後輩になるかもしれない求職者の方へ、メッセージをお願いします。
Aさん:時には教習がうまくいかない日もありますが、その経験が指導員として成長し、これからの教習に説得力が生まれます。一緒に頑張りましょう。
Bさん:入社するとたくさんの事を覚え、毎日勉強をし、大変だと思いますが、先輩指導員が必ず助けてくれます。気軽に頼ってください。
まとめ
指導員の仕事は、教習生の「できた!」という成長の瞬間に立ち会える喜びや感謝の言葉に支えられる、やりがいのあるものです。一方で、人に教える難しさや、安全を守るという大きな責任が伴うのも事実。そうした苦労やプレッシャーも、共に働く仲間と共有し、支え合うことで、その壁を乗り越えていけます。
この記事でご紹介したエピソードや本音は、すべて現場で働く指導員たちのリアルな日常です。もしあなたが、毎日同じことの繰り返しではなく、人と向き合いながら成長できる仕事を探しているのなら、きっとこの仕事は、あなたにぴったりの舞台になるはずです。
私たちは、新しい仲間との出会いを、心から楽しみにしています。